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日本一のマニアが語るトランペット界のレジェンド、アレン・ヴィズッティ~第2回

日本一のマニアが語るトランペット界のレジェンド、アレン・ヴィズッティ~第2回
前回はヴィズッティさんの経歴についてお伺いしました。今回は、もう少し掘り下げて、「ヴィズッティさんのどこが凄いのか?」を、日本屈指の「ヴィズッティ・マニア」、石井真さんにお伺いしたいと思います。

アレン・ヴィズッティさんの凄さとは?

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写真:お話をお聞きしたトランペット奏者の石井 真さん

1980年のライブ・アンダー・ザ・スカイ(1977年~1992年で夏に開催されたの日本のジャズフェスティバル)でのチック・コリアとの演奏は、これまでにない全く新しいタイプのトランペット奏者が登場した(この年はウィントン・マルサリスが登場する1年ほど前)ということで、当時の日本のジャズシーンには衝撃的な出来事であった記録があります。あのタモリさんもヴィズッティを覚えており、空耳アワー中の雑談で、ヴィズッティの話をしているほどです。(新宿のJに飛び入りで演奏したヴィズッティを電話越しに聞いたタモリさんは、急いで駆けつけたけれども間に合わなかったので、どうしても聴きたいので翌日はどこにいるのか聞いたところ、佐渡島にいる、というのがオチでした。)

タモリさんも脱帽のスーパーなプレイ…聴いてみたかったです。ところで、ヴィズッティさんはどんなレコードを出されているのですか?


1980年に初リーダーアルバムの「Skyrocket」をリリースしました。チック・コリア本人も参加し、当時のチック・コリア・バンドがサイドを固めたこの豪華なアルバムは、忙しいツアーの合間をぬって3年かけて制作され、チックコリアバンドのトランペット奏者は大変珍しいこともあって、日本でも話題となりました。

ー第1作から、めちゃくちゃ豪華なアルバムですね!

続いて翌81年に2作目の「rainbow」、クインテットにパーカッションを加えた小編成ですが、『Walk On The Air』『Dragonfly』、などヴィズッティを代表する名曲、名演奏が揃っています。そして83年に3作目の「Red Metal」を発表。このアルバムではヴォーカルも参加し一気にロック色を強めました。この頃のヴィズッティバンドのピアニストは、現在作編曲家として著名な島健(しま・けん)さんであり、このアルバムにも参加されています。なお当時は本名のアレンではなく、アル・ヴィズッティと名乗っていたので、ご年配の方には、フュージョンのアル・ヴィズッティと、クラシックのアレン・ヴィズッティが結びつかない方もいるようです。2013年には30年ぶりとなるジャズアルバム、「Ritzville」をリリース、チック・コリア、スタンリー・クラークとの久々の共演を果たしました。

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写真:左上から右に「Red Metal(日本盤)」※左下に島健さんの顔が見えます。「Skyrocket(US盤)」「Red Metal(US盤)」「rainbow(日本盤)」「Skyrocket(日本盤)」「菊池ひみこ All Right」※ヴィズッティはゲストとして参加しています。このレコーティングの際にプロモーションで来日した映像が残っています。「DOUBLE FOCUS」※クラシックとジャズの融合を目指したコンサートで、大島ミチル編曲のアランフェス協奏曲や、日野皓正のために作曲されたトランペット協奏曲を演奏しています。「Woody Herman Big Band Jazz Jamboree 77」※ポーランドでの録音盤、『Firedance』のライブ演奏を聴くことができます。最近は動画サイトに映像が出ています。

ーそんなに多彩なプレイをされていたら、確かに同一人物だとは思えないかも…本当にレジェンドですね!

ヴィズッティさんといえば、都市伝説が色々ありますが…なかでも「モンタナでは情報が少ないためにアーバンを1日に最初から最後までやるものだと思っていたので、毎日アーバンを1冊分練習していた」というのが有名です。モンタナというとカウボーイ、カントリーミュージック、広大な山岳地帯に代表されるのどかな地域ですので、こういったジョークが出たのかもしれません。ヴィズッティ本人はモンタナ出身であることに誇りを持っていて、ステージ衣装でもネクタイの代わりにカウボーイルックである襟飾り(カラーティップ)をしているほどです。

この都市伝説は後述するエリック・ミヤシロさんとの対談の中で本人が明確に否定しています。耐久力をつけるために、アーバンを最初からどこまで休まずにいけるか試していたことはあるので、その話が巡り巡って1冊分になったのだろう、と言っています。でも、調子の良い日には最後までいった日もあるかもしれない、夢のある都市伝説だと思います。

ー確かに、顔色ひとつ変えず、高音域から低音域まで縦横無尽に、コンサートの最初から最後まで途切れることなく流麗に演奏されるイメージです…その秘密はそのあたりにあるのかもしれませんね。

ヴィズッティは耐久力に関して、別の練習方法も提案しています。曲を練習する時は、1回目の通し練習のあと休まずにすぐ2回目の練習をすること、自分の実力は1回目ではなく2回目の練習、疲れた時にできることが本番でもできることだ、と言っています。また、自分の本当の限界は、自分がもう限界だと思ったほんの少し上にある、とも言っています。ヴィズッティは決して才能や環境に恵まれたわけではなく、努力を積み重ねた人であることを教えてくれるエピソードです。

ーいやはや、お話を伺っているだけで、本当に凄い人だということがよくわかります…

ヴィズッティの凄さはトランペットの超絶技巧だけではなく、作曲の力強さと、類い稀なリズム感にもあると思います。ペンタトニックをポリリズムで正確に決めていくソロは、他に類を見ないものです。

ーそうですね、素晴らしい楽曲の数々を自ら作編曲をされるのもヴィズッティさんの凄いところですね!次回は、石井さんとヴィズッティさんの出会い、そして!いよいよ間近に迫った来日の見どころ・聞きどころについてお伺いします!

アレン・ヴィズッティ 来日公演情報!

Z EXPRESS BIG BAND


スペシャルゲスト:アレン・ヴィズッティ
2018年1月23日(火)

開場:18時 開演:19時30分
会場:BLUES ALLEY JAPAN(東京 目黒)

公演情報 ご予約はこちらから

アレン・ヴィズッティ トーク&パフォーマンス

2018年1月24日(水) 
開場:18時 開演:19時
出演:アレン・ヴィズッティ(トランペット) 大山宮和瑚(ピアノ)福田徳久(ヤマハ株式会社)
会場:グランフロント大阪うめきたSHIPホール(大阪 梅田)
料金:2,500円(税込・全席自由)
お申し込み:
株式会社ヤマハミュージックジャパン
鍵盤・管弦打営業部 営業推進課   
TEL 06-6649-9101
(月~金 10:00~17:00 ※祝日・弊社指定休業日を除く)

石井 真さんのご紹介

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石井 真(いしい まこと)
1978年東京生まれ。小学校でトランペットを始める。国際基督教大学在学中、ICUモダンミュージックソサエティで演奏しコンテストで入賞。卒業後、藤崎邦夫とジャガーノート、見砂和照と東京キューバンボーイズ、Z EXPRESS BIG BANDなどに所属。レコーディング、ツアーサポートのほか、トランペット関連の通訳や翻訳を通じて国内外のプレイヤーとの交流も深い。

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