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世界最高峰とも称されるホルンの音色とテクニックに陶酔! ベルリン・フィル首席ホルン奏者、シュテファン・ドール氏のトーク&コンサート ~2017年10月9日開催~

世界最高峰とも称されるホルンの音色とテクニックに陶酔! ベルリン・フィル首席ホルン奏者、シュテファン・ドール氏のトーク&コンサート ~2017年10月9日開催~

音楽愛好家の皆さまに、日頃経験できないような特別な音楽体験を楽しんでもらおうと、2017年10月9日(月・祝)、「ベルリン・フィル首席ホルン奏者 シュテファン・ドール トーク&コンサート」が開催されました。
シュテファン・ドール氏は磨かれたテクニックと、歌うような情感あふれる演奏で、ホルン界のリーダー的存在として世界が認める音楽家です。19歳でフランクフルト・オペラの首席ホルン奏者となり、その後、バイロイト祝祭管弦楽団、ニース・フィルハーモニック管弦楽団、ベルリン・ドイツ交響楽団の首席ホルン奏者を経て、1993年よりベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の首席ホルン奏者を務めています。

会場は神奈川県川崎駅前から直接アクセスできる、ミューザ川崎シンフォニーホール内にある音楽工房の一室。14時30分の開場とともに参加者が続々と集まってきました。世界最高峰のホルン奏者を至近距離で迎えるというこの上なく贅沢なシチュエーションは、この企画ならでは。共演のピア二ストに、日本ホルンコンクールで公式伴奏を務める野代奈緒氏、通訳にはご自身もホルン奏者であり日本体育大学体育学部教授である世川望氏を迎え、いよいよ開演です。一曲目はデュカの『ホルンとピアノのためのヴィネラル』。ホルンのさまざまなテクニックが織り込まれており、ホルンの魅力を存分に堪能することができました。

演奏後に行われたトークでは、まずドール氏がホルンを学ぶことになった経緯や、ベルリン・フィルの様子などを伺いました。ちなみにドール氏が使用するホルンはドイツのアレキサンダー製。およそ240年前に創業した歴史ある楽器メーカーで、その響きをとても気に入っているとのことでした。アレキサンダーの音色と似て親しみやすいというヤマハのホルンも愛用しており、バッハのブランデンブルク協奏曲など高い音域を常に吹かなくてはならないときには欠かせないと話してくれました。そして『ホルンとピアノのためのヴィネラル』の演奏法について具体的な解説が始まりました。話しながらすぐホルンを手に取り、ベルの部分に右手を入れ、客席に向けてよく見えるようにしながら音程を変えてみせるなど、トップ奏者のテクニックを惜しみなく披露。楽器演奏者にとってはまたとない経験になりました。
2曲目はモーツァルトの『ホルン協奏曲第3番 変ホ長調』、そして3曲目は高々と鳴り響くホルンの音色で始まる、R.シュトラウスの『ホルン協奏曲第1番 変ホ長調』。ホルンの高音域が響き渡るときには、まさに雄大という表現が当てはまり、音の波の中を浮遊するかのような極上の気分に浸ることができました。

当日の参加者にはホルン奏者も多く、トーク後に行われた質問コーナーでは、この貴重な機会を逃すまいと積極的に挙手されていました。
リハーサルのあとに本番があるときにどのようにペース配分をしたら良いのかという、アマチュアオーケストラでホルンを担当している女性の質問には、「リハーサルではあまり大きく吹き過ぎない」「1秒でも2秒でも負担を軽くすることは本番演奏のための助けになる」など、ご自身の経験を語ってくれました。「『そういうときにはホルンの代わりにトロンボーン奏者に大きく吹いてもらえ』というジョークもありますよ」という話には、会場が大爆笑。表現の幅を広げるにはどのような練習をしたら良いのかという、女子高校生の質問には、メロディに合った役柄をイメージしてそれを表現することが大切と、わかりやすく回答してくれました。
そのほか、ホルンの管内洗浄についての質問には、ドール氏のホルンを直に手渡してジョークを交えながら具体的に説明してくれるという嬉しいハプニングも。最後の質問者は時間も押し詰まったこともあり、じゃんけんで決定。「今日は小さな会場のため控えめに演奏されたと思いますが、コンサートのときはどのくらいの音量で吹くのですか」という問いかけに、体に響く大音量を実演してくれました。「でも、これではみなさん耳障りでしょう」と、当日のリハーサルで会場の音の響きを確かめたうえで、心地よい音量を決めたとのことでした。とはいえ、部屋いっぱいに轟く音色の迫力にも、皆さん感激しきりの様子でした。

トークの終了後はドール氏を囲んでの撮影会が行われました。まずは全員揃って記念撮影。そして5~6人ずつに分かれてのグループ撮影と続き、和気あいあいとしたひとときとなりました。
会場の外ではドール氏のCD販売とサイン会も開かれ、ホルンを持参していた女子高校生はホルンケースにサインをしてもらい「帰ったら猛練習します!」とやる気と嬉しさに満ちた笑顔に。「ホルンの演奏は大きなホールで何メートルも離れて聴いたことしかなく、このような近さで聴く機会はなかったので、とても楽しかったです」と感想を述べてくれた男性も。貴重な体験を存分に楽しんだ、満足いっぱいの一日となりました。

文 唐沢耕
写真 坂本ようこ

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