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先入観(Z BLOG 曽根 麻央)

そういえば最近フリューゲルホルンにはまっています。
今までトランペットだけでこなしていたコンボの演奏にも持っていくようにしています。実は苦手意識もあるフリューゲルホルンですが、何年も机の上に放置していた14F4-GPが最近フリューゲルホルンを吹くのに実にしっくりきたのです!
1週間ほど前にちょっと気になって手に取ってみました。すると、今まであんまりだなと思っていたものが急によく感じる事ってありますよね。楽器選びの難しいところです。最近では気になったらとりあえず自分の直感を信じつつ、先入観をなるべく抜きにして試してみる事にしています。

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先入観。「前もっていだいている固定的な観念、またそれによって自由な思考が妨げられる事」らしいです。過去の経験や修練からくる直感や知識が、悪い方に働いた様とも言えますね。
 

先入観は天敵


ジャズなどの即興演奏を交える音楽で他者とアンサンブルを行う場合、先入観は天敵だと言えます。
例えば昨日の演奏では上手くいったフレーズが、今日同じように演奏しても良いサウンドをするとは限らないのです。
さらに広義で例えれば、自分が好きなマイルス・デイビスのフレーズをコピーして、同じコード進行の上でそれを良かれと思って吹いても、その場の音楽が成立しない事が多いのと同じです。
また、エルビン・ジョーンズのようなライド感やフィルインを真似して叩いても、それを共にするベーシストなどの共演者が違えば、一切音楽として成り立たない。なぜならそれは共同作業であるはずのアンサンブルとして不自然だから。先入観はその場に流れている音楽に異質な物を投入する可能性を産むものだと思っていいでしょう。

それをさらに共演者の立場で考えてみましょう。アート・ブレイキーのスタイルが好きだからと言って、周りを聞かず、疑問も持たずにそのスタイルを貫こうとすれば、それは共演者の自由を奪っているに他ならないのです。共演者の知識があればあるほど、経験があればあるほどに先入観が強くあり、ブレイキーのフレーズが聞こえればリー・モーガンの様に、ボビー・ティモンズの様に演奏することを強要されている気分になり、その様に体が反応してしまいます。つまりは共演者の自由すら奪ってしまいます。この様な創造性のない影響を共演者に与えるのはとても宜しくない。

ジョー・ロバーノは
「ジャズはいかなる場合もこの人(他人)とどうやって一緒に演奏したら良いのかという疑問を解しながら演奏する音楽だ」
と彼の生徒に言いました。
チャーリー・パーカーは
「練習しろ!そしてステージでは全て忘れろ!」
と言っているのは、このような事でもあるのかもしれませんね。でも練習してないこと、知らない事は忘れられないので、最初は真似をするところから始めないと音楽、そしてジャズの積み上げた歴史を理解しきれない。そこが音楽の難しいところでもあるのかも知れません。
 

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