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飲食店の音楽(Z BLOG 菅野 浩)

飲食店で流れるBGMの音楽はいつも気になるところ。

ある時期から、新しく出店するラーメン屋はどこでもジャズを流すようになった。
焼肉屋や居酒屋でも内装が暗めでお洒落なお店はどこでもジャズがかかっている。
ジャズで溢れる日本の飲食店は外国のジャズミュージシャンが訪れると皆驚くという。
どこへ行ってもジャズを聴くことができるのはジャズが大好きな僕にとってはとても嬉しいことだ。

と、
思っていた。。
昔は。。
 

実のところいまではそんなに嬉しく思っていない。


ジャズを日頃から聴いているし演っているし研究していると、ジャズが流れるとすぐに耳が奪われてしまう。耳から入ってくる情報、とりわけジャズに関してはいつも敏感に反応してしまうから、演奏場を離れたところでジャズが流れてると疲れてしまうことがあるからだ。
友達と楽しい会話をしようとしていても気になるジャズが流れてきたら一瞬で聴き入ってしまう。友達との会話は上の空になり、反射的に耳コピタイムとなって勝手に指が動く。
昨今では、曲を聴かせればアーティスト、アルバム、曲などがすぐにわかってしまうスマホアプリがあるので、すかさずそれを立ち上げて店内のBGMが誰の演奏なのかを調べはじめてしまったらもう終わりだ。友達との会話は強制的に中断され、店内で騒ぐ客がいたら「お前ら騒ぐな!静かにしろ!」と心の中で叫びつつ、“闇金ウシジマくん”に出てくる山田孝之さんのような冷酷な眼光を浴びせてしまう。

もう完全に職業病だ。

居酒屋や焼き鳥屋では、演歌、昭和歌謡やフォークソング。
喫茶店(カフェ)では、クラシックやボサノバ。
和服の上に割烹着を着たおかみさんがいるような和食店では、演歌や雅楽。
若者が集まるBARでは、ロックやパンク、カントリーなどの洋楽。
ファーストフードやファミレスでは、リアルタイムで流行っているJ-Pop。
中華料理屋では、中国の曲。
カレー屋では、インド音楽。
これらがだいたい僕の好みだろうか。
もちろんジャズ喫茶やジャズBARでは、ゴリゴリにジャズを流して頂きたい。

富士そばでは演歌が流れているが、BGMをジャズにしたら若い女性の一人客も利用しやすくなり売上が上がるのではと、どこかの企業コンサルさんが提案していたが、それだけはやめて欲しい。頼むから。演歌は富士そばが富士そばであるための必要条件だと思う。

お洒落な飲食店でジャズが多く流れている理由は、雰囲気が洒落ている上にお客さんが聞き流すことができる音楽だからだそうだ。

日常的に自らジャズを聴いてる人は僕の周りでは沢山いるけど、世の中全体で見ればごく僅か。ジャズのお洒落な雰囲気を感じることで、価値が増した食事をしていると感じる人が多いのは確かに納得できる。

でもね、僕は困るのですよ。
 

ではどうしたら良いだろうか。


いっそのこと
“無音”
ではどうだろうか?
BGMが無音になると、お客さんの会話や麺をすする音、肉を焼く音、食器が当たる音、従業員の会話などがBGMになる。
美味しそうな料理が出てきたときのお客さんのワクワクする様子や美味しい物を食べたときの反応が隣席の客にも伝わるので追加注文がでるかもしれない。効果絶大ではなかろうか。

学生のとき、どこでもジャズが流れていることに何も抵抗がなかった頃、御茶ノ水にあるカレー屋「エチオピア」ではいつもSonny Clarkの名盤『Cool Struttin'』が流れていた。頻繁に食べに行っていたので、Jackie Mcleanのソロはこのお店で耳コピした。Sonny Clarkのソロでは裏コードへ行くシンプルな音使いも覚えた。Jackieのソロの冒頭の♪ドファラシ♭ラ~(実音)を聴くといつもあのカレーの味が蘇る。
飲食店で音楽を聴くメリットをこの頃実感してしまったから、それ以降飲食店の音楽が気になるのだろう。
でも今となっては、他ジャンルの音楽もたくさん聴きたいのだ。

あ、そういえば一時期、深夜にビリヤードに勤しんでいた頃の話。
ある日、高円寺のビリヤード場で友達と対戦していたら、急に店内で流れたBGMに動揺しまくったことがあった。
そこに流れていたのは数多くあるルパンジャズの中で僕が参加した唯一のアルバム『Isn't It More Lupintic?』の曲だった。よりによって僕が全面的にフィーチャーされている曲が流れるなんて。
嬉しいやら恥ずかしいやらでとても困った夜だった。ビリヤード負けるし。
まぁ、薄暗い深夜のビリヤード場にはジャズがとてもよく似合うので良しとしようか(笑)

BGMって色々作用するものです。

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