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映画にみる時代観(Z BLOG 菅野 浩)

2つの映画の共通点


『ミッドナイト・イン・パリ』(2011年)
『華麗なるギャツビー』(2013年)
この2つの映画には共通点が多いと思っている。
どちらも1920年代を輝かしく描いているが、はたしてその時代の文化が最高であると思って良いのか?と強く問いかけているように思うからだ。

『ミッドナイト・イン・パリ』は、1920年代のパリの文化に憧れる小説家志望で脚本家のアメリカ人が、フィアンセとその家族らとパリに滞在中、夜な夜な1920年代へタイムスリップし、当時の芸術家や小説家と交流するうちに懐古主義的思考から解放されるという話。
途中知り合った、1920年代に生きる女性と共に、更に古い19世紀後半の時代にタイムスリップしてしまった時、主人公の彼は現代に戻って生きることを決心する。そのまま19世紀後半に残ると主張するその女性を彼が説得しようとした時の台詞がこれ。
「もし この時代に残ってもいずれまた別の時代に憧れるようになる。その時代こそ黄金時代と。“現在”って不満なものなんだ、それが人生だから。」
「何か価値のある物を書こうと思ったら幻想は捨てるべきなんだ。過去への憧れもその1つだよ。」
その甲斐もなく彼女は19世紀後半に残り、彼は現代に戻り別れた。
この台詞はとても印象的だった。
監督のウディ・アレンが言いたかったのはこのことではなかろうか。

『華麗なるギャツビー』は、前情報もなく観た時、ギャツビー邸でのパーティーシーンには度肝を抜かれた。僕の頭の中は1920年代の禁酒法時代のアメリカを想定して観ていたので、そこに現れたショーバンドはトラッドジャズだろうと思っていたら、ロックやヒップホップの要素を感じるものだったからだ。こんなの1920年代のアメリカじゃ有り得ない!と最初は思ったが、観ているうちになるほど、と腑に落ちるものだった。
これは監督バズ・ラーマンの意図らしい。
当時は違法とされた酒を飲み、踊り騒ぐことができた場所にはトラッドジャズが流れていた。このイケナイ場所に集った人々はそこに流れていたヤバイ音楽=トラッドジャズに高揚し熱狂的に興じていたが、このトラッドジャズは現代においては最早“古い”音楽形態。当時と同等の高揚感を備えた現代の音楽=ヒップホップの要素を取り入れて演出を施したそうだ。
トラッド×ヒップホップで新たな感覚を提供されたわけだ。
制作にあたっては当時の音楽、ファッション、ロケーション、景色など隈なく調査した上に当時のオリジナルと現代感覚を織り交ぜることに重きを置いていたらしい。
作品全体を通してその一貫性には頭が下がる。
 

現代に生きる人々に伝わるような工夫


どちらの監督も細部まで手の込んだ演出をしていることから1920年代の文化や空気感が好きだということが感じられる。その上で現代に生きる人々に向けてメッセージを乗せて伝わるような工夫が盛り込まれている。
いま僕が参加しているバンドで、1920~30年代のスイングジャズを踏襲したオリジナル楽曲を産み続けるGentle Forest Jazz Band(以下略してGFJB)もまた、今回紹介した作品に通じるものがあると思うのでとても共感してしまう。

この夏、GFJBが音楽を担当した映画が公開されます。GFJBが現代の映画にどの様にブレンドされるのか、是非劇場で体験いただきたい。
 

2019年8月19日公開
『ダンスウィズミー』(監督: 矢口史靖) 
公式サイト

Gentle Forest Jazz Band 
公式サイト

■Gentle Forest Jazz Band ライブスケジュール
2019.7.21(日)@Restaurant Bar CAY(東京 青山)
 Gentle Forest Jazz Band × CAY Presents 『Swingin’ & Stompin’』 Vol.14

2019.12.14(土)@練馬区立練馬文化センター 大ホール
 ~東京、練馬でジェントルなLive vol.2~

1812_ZBlog_sugano.png菅野 浩(すがの ひろし)プロフィール
アルトサックス、クロマチックハーモニカ プレーヤー
小編成から大編成まで活動の幅は広く、自己のバンド「Totem Pole」「Alto Talks」「Landmark Blue」の他、「Gentle Forest Jazz Band」「in's」などのバンドでも活動中。
近年ではクロマチックハーモニカも演奏する。

【ライブスケジュール】
DUO with the guitar
・2019年7月23日(火)@横浜「491HOUSE」
菅野浩(as) 佐津間純(g)
guest 上野まこと(ts)

公式サイトのライブスケジュールはこちら!

菅野さんが参加している
Z EXPRESS BIG BANDの紹介ページはこちら

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