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【イベントレポート】最高級ホームシアターを体感し、ゲームサウンドの制作秘話に触れた「素晴らしき“ゲーム×シアター”の世界」 ~2020年1月17日開催~

【イベントレポート】最高級ホームシアターを体感し、ゲームサウンドの制作秘話に触れた「素晴らしき“ゲーム×シアター”の世界」 ~2020年1月17日開催~

会員限定イベント「素晴らしき“ゲーム×シアター”の世界」を開催

2020年1月17日(金)、ヤマハ銀座スタジオにて、ヤマハミュージックメンバーズ会員限定イベント「素晴らしき“ゲーム×シアター”の世界」が開催されました。このイベントはヤマハの最高級ホームシアターシステムで、ゲームの映像や音響を体験してもらおうというもの。今回は、2004年の発売以来、音楽や音響も高い評価を得ている人気ゲーム「モンスターハンター」シリーズ(以下、モンハン)の最新作『モンスターハンターワールド:アイスボーン』(以下、アイスボーン)を体験します。会場には150インチと80インチ2種のスクリーンと計13本のスピーカーが設置され、ゲームのデモンストレーションや制作者によるトークセッションなどが行われました。

臨場感あふれる映像と音響

イベントを進行するのは、ゲームとシアターについてのWebサイト「Game Sounds Fun」を立ち上げたことでも知られるオーディオ&ビジュアルライターの逆木一さんです。
物心ついた時からゲームを楽しんできたという逆木さんにとって、今回のイベントは、ゲームとオーディオの魅力を紹介する理想的な機会だと挨拶。
「最高級ホームシアターで遊ぶとどんな感じなのか、『百見は一“狩り”にしかず』。早速、体感していただきましょう」という合図でスクリーンは一転、「モンハン」の世界へ。ホームシアターによるゲーム体験のスタートです。

「アイスボーン」は、雪と氷に閉ざされた世界が舞台。雪深い谷あいや、凍てつく森の中など細部まで描きこまれた世界をハンターたちが探索しつつ、モンスターを狩猟していくというもの。まずは、「バフバロ」というモンスターを狩るシーンをデモンストレーション。雪をザクザクと踏みしめる足音や洞窟の中で溶岩が流れる音、それに、ハンターやモンスターの攻撃の音などが、前後左右に設置されたスピーカーから響き、映画館さながらの映像と音響が繰り広げられました。

逆木さんがホームシアター体験について参加者の皆さんに尋ねると、ほとんどの方が初めてとのこと。「アイスボーン」について、モンスターはもちろん、環境音も素晴らしいゲームであると紹介し、「マグマの吹き出る音や風の音など、環境音の豊かさをこの音響設備で実感していただけたのではないでしょうか」と、デモンストレーションのポイントについても説明しました。

サウンド制作の舞台裏を披露

デモンストレーションを終えたところで、株式会社カプコンでサウンドディレクターを務める黒岩若菜さんと細井秀基さんが解説者として登場。黒岩さんは『モンスターハンター:ワールド』を手掛けたのち、『アイスボーン』を担当。黒岩さんの先輩に当たる細井さんは『モンスターハンター4』や『モンスターハンター:ワールド』に携わっています。

お二人には逆木さんがあらかじめ伺っていたという三つの質問に答えてもらいました。
まず一つめは、「ゲームの音はどのように作られているのですか?」。
黒岩さんは、映画やアニメの音作りと同じように捉えている一方で、ユーザーの操作がゲームの進行に作用するインタラクティブな点を違いとして挙げ、「ですから、ユーザー視点を大事にしています」と音作りの姿勢についても触れました。細井さんは「ユーザーのアクションに反応させられるのがゲームの音の魅力」と、語ります。

二つめの質問は「本作の音を作る上で、特にこだわった点とは?」。
黒岩さんがこだわっているのは、モンスターの個性を大事にするサウンドだそう。「例えば、ブラントドスは除雪機のエンジン音と動物の鳴き声を組み合わせて音を作りました」と具体的な例を挙げて説明。モンスターの動きや特性に合った説得力のある音作りを目指していると話しました。
細井さんはキャラクターがいる場所の違いによる音の違いに留意したとのこと。「森の中や雲がかかっている場所などは、どういう反響があるのか。例えば洞窟の中でも、壁の材質や距離の違いでも音を変えています」。各場面の環境に合わせた音を表現することはお二人の共通した認識で、黒岩さんも「“「モンハン」の世界のリアル”を作りたかったんですよね。現実の生活音や環境音に、非日常的な音を織り交ぜることでプレイヤーのワクワク感を煽れるように工夫するようにしました」と続けます。
逆木さんも「非現実だけど、リアル。何かがそこに居そうなんですよね。この非現実を体感できるのが、まさにホームシアターならではの魅力でもありますね」と、プレイヤー視点からの実感を述べられました。

最後は「ゲームをホームシアター/サラウンドで遊ぶことの意義とは?」。
「ユーザーの操作性が上がりますよね」と答えた黒岩さんは、画面を示して「楔(くさび)虫(むし)(仕掛けのひとつ)はどこにいるでしょう」とクイズを出題。音でも対象物がどこにあるのかがわかるように作っていることから、サウンド環境が良ければ音を頼りにプレイできることも教えてくれました。
細井さんは「低音表現ですね。低音のあるなしで表現が随分変わります」と答え、モンスターのひとつイヴェルカーナを例に出して説明。また、別のモンスター、バゼルギウスの討伐のシーンをプレイしながら、不気味な低音の重々しさなど、サウンド表現について説明をしました。

さらに、氷の表現に鎖を用いたことや、2月の岩手県に出かけて雪がドサっと落ちる音など、野外の音を収録したエピソード、雪の深さで音を変えていることなど、音作りの裏話を披露し、なかでも黒岩さんの「実際にゲーム内でハンターが聞いているであろう音を生み出すことを目標にしています」という言葉には、参加者の皆さんも感心していました。

ホームシアターの魅力に触れる

ゲームの音作りの舞台裏をのぞいたところで、本日の“舞台”となったホームシアターシステムの紹介です。ヤマハでホームシアターのマーケティングを担当する手塚さんが、当日の機材について説明し、「ヤマハはオーディオ機器を開発する上で、サウンドに込めた製作者の意図を忠実に再現できるよう取り組んでいます」と機器作りの想いを語りました。
続く逆木さんからのレクチャーは、ゲーム機の設定、オーディオ機器の選び方、サラウンド基礎講座です。ご自身のオーディオシステムについても写真で紹介すると、オーディオのプロならではのマニアックなホームシアター環境に歓声が。参加者の皆さんは解説画面を写真に撮りながら、熱心に聞き入っていました。

イベント最後の質疑応答では、技術的なことから制作担当者自身のことにも話がおよび、大いに盛り上がりました。逆木さんは「プレイステーション3で初めてゲームをサラウンドで遊んで衝撃を受け、それ以来ゲームとホームシアターを組み合わせた時の魅力を伝えたいと考えてきたので、今日のイベントを開催できて感激しています。皆さんもこれを機にホームシアターにも興味を持っていただけたらうれしいです」とイベントを締めくくりました。

「モンハン」を1からずっとプレイしてきて、ホームシアターの設置経験もあるという参加者の男性は、「細かいところまで考えて音が作られているのがよくわかりました。これを機にホームシアターをまた入れたいですね」と、ホームシアターへの興味が再燃したようでした。「モンハン」歴6年の女性からは「プレイしながら、イヴェルカーナから発せられる音は氷の音だけではないと思っていましたが、鎖の音を使っていると聞いて納得しました。制作に関するお話が聞けてよかったです」という声も聞かれました。また、ご主人がゲームファンで奥さまが映画ファンというご夫婦は「いつかホームシアターを導入したいと思っていたのですが、イメージがわきました」と、期待が高まった様子です。イベント後は、会場に設置されたホームシアターシステムで「アイスボーン」のプレイを思い思いに楽しみプレイできるようにセッティングされており、映像や音のリアルさ、繊細さを自ら体験し、感想を語り合う姿が多く見られました。

文 佐藤雅子
写真 宮地たか子

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