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ピアノは耳を育てる!~ピアノは子育てのヒントをくれる~(樋口 紘子)

こんにちは!ピアノデモンストレーターの樋口紘子です。最近の運動不足を解消しなきゃと、筋トレ動画やストレッチを毎日続けて、目指せ!ストイックママと思いつつも食べる楽しみが上回り&甘々な性格が見え隠れ。何事も続けるってほんとうに根性がいりますね…。
さて「ピアノは子育てのヒントをくれる」の第2回は「耳を育てるピアノ」のお話。前回のプロローグから、今回は少し掘り下げてみたいと思います。

ピアノは耳で弾く?ペダルは耳で踏む?

「聞き耳を立てる」ということがありますよね。耳のスイッチが思わずオンになるとき…例えば、ごみ収集車から流れる音楽を耳をダンボにしながら聞いて、間に合うかどうか慌ててダッシュ!(いつもありがとうございます)とか、子どもが泣いている・・?というときなどなど。
では「聴いて感情が揺さぶられる」のはどんなときでしょうか?私は音楽を聴いているときがダントツ1位です。
感性、特に五感の中でも聴覚を磨くことって、日常なかなかないのではと思います。でも音楽、なによりピアノは身近に耳を育ててくれるものだと思うのです。
ピアノ経験のある方はよく聞いたお話かもしれませんが「ピアノは耳で弾く。ペダルは耳で踏む。」小さい頃から私も言われ続けてきました。その意味は、自分がどんな音を奏でているのか?を大切にするということです。
もちろん、ピアノは手で弾きますし、ペダルは足で踏みますよね。笑
でもそれによってどんな音が出ているかは耳でしか確認できないんです。より良い演奏に近づくために、耳を使うことはとても大事なこと。耳を使うことでピアノ演奏の上達も変わります。
私も子育てをして、子どももピアノを弾くようになり、その大切さに改めて気づかされました。子どもって聞こえてくるものにすごく敏感ではないですか?
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飽きずに子どもにピアノ練習を続けさせる工夫

何事も継続は力なりとは言いますが、自分自身ももちろん、子どもにピアノをとなると必ず立ちはだかる問題、それは練習を毎日続けさせること。
誰もが音を出せる身近なピアノは、習い始めは弾ける楽しさがいっぱいなのですが、その先はレッスンに通っていれば練習なくして上手になるというものではありません。でも!でもです。日常に音楽が、ピアノの音があるということがまず何よりとっても素敵だと考えて、私は「練習=聴く時間を毎日作る」ということに置き換えています。

これを具体的に子どものピアノ練習へのアプローチとすると、
・気分が乗っていないなという日は「ピアノの音を聴いてみようか?」と誘い出してみる。
・録音して聴いてみる。
・子どもが弾いている曲を、ママやパパ、もちろん兄弟でも弾き合いっこしてみる。などになります。

我が家ではパパの存在が大きく、週末は「ちょっとパパも練習してみるぞ」と子どもと一緒にピアノ部屋にこもって、ピアノの音時間を作っています。
私しかいない日は「どっちが曲に合う?ゲーム」で強弱や曲調を変えて弾いたものを聴いて比べて楽しむ時間を作って、「自分でも試してみたら?」と弾く意欲にどうにかつなげようと、日々試行錯誤中です。

ピアノ練習はどうしても、弾くということに必死になりがちですが、自分の出した音に耳を集中させて、自分がイメージしている音を奏でられているのかを聴くこと、また他の人の演奏を聴いて、良いところを見つけることも大切な練習です。
レッスンに通えば先生のピアノで、また普段と違った音を聴けるでしょう。発表会や人前で、大きな舞台で弾く&聴くことの刺激も絶大です!
自分が奏でたいイメージは自分の経験によることが大きいですが、他の人の音を聴くという経験をたくさん積むことでも、自分の音楽の幅や、引き出しを沢山増やせます。
更に大事なのは、自分の演奏や他の人の演奏を聴いて感じた事を家族など誰かと話し合うこと。どんなことを思ったのか、誰かに話をすることで、より自分の体験として身につき、幅広い感性をより深められると思うのです。

特にアコースティックピアノの響きは、弦や響板など、大きな楽器全体が震えて音を感じることのできる特別なものです。お子さんには普段からこのような耳への語りかけを沢山経験してほしいですし、またどんな年齢でも、ピアノを始めたらきっと耳の感覚は変わってくると思います。

聴くことで心がつながり、聞く耳にも変化が訪れた実体験

私が音楽教員として高校三年生のクラスの音楽の授業を受け持った時の話です。生徒たちは、それはそれはドラマかと思うほどやんちゃで反抗期真っ盛り。私はひたむきに向き合う覚悟で、授業は毎回、黒板に曲名だけ書き鑑賞からスタートしました。でも生徒たちに感じたことを一言書いて提出してもらうと、実は純粋でまっすぐな言葉が沢山でした。私はその感想文にコメントを書いて子どもたちに戻し、コミュニケーションツールのひとつにし続けました。
(選曲は私の独断で、オーケストラのもの、室内楽、そして私が自分をさらけ出してピアノで生演奏など。あの緊張感は強烈でした。)
一筋縄ではもちろんいきませんでしたが、鑑賞とその感想の共有を続けたことでお互いが理解できるようになり、何よりこちらを向いて話を聞く姿勢が変化していきました。音楽を聴くことは、心開く扉へも導いてくれたのです。
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このように「聴いて感じたことを言葉に書き留めたり、話をして共有する」大切さを経験したことから、我が家では耳からの刺激で感じたことを言葉にできるようにあしあとを残す、子どもとの絵日記が続いています。
さて、今日はどんな素敵なあしあとが見つかるかな。

piano_higuchi_prof.png樋口 紘子(ひぐち ひろこ)プロフィール
4歳よりヤマハ音楽教室に通い、その後はピアノ個人レッスンを受ける。フェリス女学院大学器楽学科ピアノ専攻卒業。卒業後デモンストレーター活動の傍ら、ピアノ講師、高校での音楽教員にも従事。2児の出産を経て、デモンストレーターとして再活動中。

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